太陽光発電装置の自作と有効活用のための考え方
家庭用太陽光発電装置の設置を考えた場合、費用の回収がポイントと思う人が多いはずです。ソーラーパネル単体の価格は、15年ほど前に1ワットあたり2000円だったのが、最近では300円~1000円まで値下がりしています。このことから、家庭の屋根にソーラーパネルを設置して発電し家の電力をまかなった上で余剰分を売電すれば、比較的早く費用回収できるような気になりますが、実際にはソーラーパネルの保証年数より長くかかるとされています。そこで、家庭用のすべての電力を賄うのではなく、災害時に最小限の電力を確保するためや、趣味で使用している機器への供給用、また電動車椅子や電動アシスト自転車への充電用といった単機能に特化したレベルでの設置を考えてみましょう。
商用電源を家庭で契約する場合、20アンペア~30アンペア程度が一般的ですが、これを消費電力で表示すると2000ワットから3000ワットとなります。仮にそのレベルのソーラーパネルを前述の最も安い価格で設置すると、60万円~90万円がパネル代だけでかかってしまう計算になります。その他蓄電・交直流変換・商用電源切り替えなどの工事費用は含まれないので、これらを含めればちょっと簡単に手を出せない金額になってしまいます。
使用目的を絞って、仮にパソコンの電源に使用するとして計算してみると、一般的なデスクトップパソコンの消費電力を500ワットと仮定した場合、15万円~50万円となり、これより消費電力の少ない機器であればさらに少ない取得価格で稼働することができます。このレベルになると、自作も視野に入ります。自作でソーラーパネルを設置して稼働させる場合、まず売電を条件から外すことが必要になります。商用電源との接続は電気工事士の資格が必要なためで、自らが資格取得者である場合を除き、費用の発生につながるからです。発電した電力の室内への取り込みも、単機能での使用であるなら比較的簡単に施工可能で、これも日曜大工のレベルで対応することができるからです。
太陽光発電は、太陽が出ている昼間のみの不安定な発電機構で、家庭すべての電力を賄うためにはまだまだハードルの高いものと言えます。ソーラーパネルの単価が下がってきている今、外部への売電を含む費用回収タイプより、単用途の小さいシステムを稼働させるための対停電用システムが、現段階では最も有効に活用できるでしょう。